あなたも私もやっている? 子どもから悪魔を引き出す簡単な方法。

子どもの中から
小さな悪魔を呼び出す簡単な方法。

それは、子どもを友達(や兄弟)と比較することだ。

めざわり

保育園に子どもを送り、廊下の掲示物を見ていた時のこと。

年少のお母さんが、ぐずりながら支度する男の子に「早く支度しなさいよ、○○君なんて自分でサッサとお支度してるわよ」と急かしている。よくある風景だ。

お母さんが「じゃ、お願いしまーす」と
先生に声をかけ
足早に玄関に向かった30秒後。

男の子が○○君に向かって飛び蹴りした。

○○君と呼ばれていた子は、支度を済ませてひとり静かに遊んでいたが、背後から突然飛び蹴りされて大泣き。

保育士が飛んできた時、
男の子はこぶしを握り締めて突っ立っていた。

引き出す

その小さなこぶしを、思わずじっと見つめてしまった。

幼い頃、男の子みたいだった私は可愛い妹とよく比べられ、暴れた。

両親は、私と誰かを一切比較しない人たちだったが、親戚や近所の人によく比較された。

「みなちゃんは男の子みたいなのに、妹ちゃんはお人形さんみたいね〜」

じっと無言で私を見た後、
隣の妹にだけ
「妹ちゃんは可愛いわね〜」
と言う大人もよくいた。

そんな時、小さな私は相手の大人ではなく、妹に当たり散らしたものだった。

「憎しみ」や「妬み」という語彙に
簡単に置き換えられない、
あの時の嫌な気持ち。

悲しいような、悔しいような、憎たらしいような、忌々しい気持ち。

胸の奥から引っ張り出された
小さな悪魔。

比べられ

「○○ちゃんを見てごらんなさい。
宿題を10分で終わらせるんですって。
あなたは何時間ダラダラしてんの?」

「○○くんは、ちゃんと学校のこと
お家で話すらしいわよ。
あなたは、何にも話さないけどね。」

「○○ちゃんは、足が速いらしいね。
あなたも見習って少し運動したら。」

大人には何気ない会話の一つ。
子どもに対するちょっとした期待と
叱咤激励のつもり。

でも、子どもは友達と比較されて
素直に「よーし、じゃ私も頑張ろう!」
なんて思わない。

大人だってそうだろう。

「隣の奥さんは、料理上手らしいよ。
お前も少し見習ったら?」

「向かいの旦那さんは、
高給取りで家事も得意なんだって。
素敵よね〜」

と言われて、

素直に「よーし、じゃあ自分も頑張ろう!」

と思うのか?
どうだろう。

ほんとの原因は

子どもは、たいてい親が好きだ。
(そうじゃなくても)
親には認められたい。

友達と比較されて、
潰された自尊心の痛みのハケ口は
親より友達へと向かう。

何気なく友達と比較した親は知らない。

それが時に子どもから
小さな悪魔を引き出して
親が望む方向とは違う行動を
起こさせていることを。

子どもが
比較された相手の子どもに
嫌な気持ちを抱き
学校でそれをぶつけていることを。

「なぜ、こんな事するのか?
理由がわからない」

と先生や親が頭を抱える問題行動。

物を盗む、隠す、
突然殴る蹴る、無視する
などが起きる原因は様々だし、
複数の要因が絡む。

けれど、
実は子ども同士の問題ではないことも
よくある。

親に比較されて
引き出された小さな悪魔の仕業。

「あんたが余計なことやるから」

「お前が〜出来るから俺が怒られる」

と親から比較されたことの怒りを
直接訴える子も
何人も知っている。

それは怒りの形をした悲しいSOSだ。

ダメ

私も自分が比較されて、
あんなに嫌だったのに…

うっかり、兄弟を比較してしまう事がある。

本人の自信が育っていない分野について、
他人を褒めそやし
言外に「お前も頑張れよ」と暗に比較するのも
小さな悪魔を呼び出すには十分効果がある。

比較。

子どもから悪魔を引き出す簡単な方法。

本当に恐ろしい。

すげーこえー、すげーこえー、すげーこえー。

大変恐ろしいので3回叫んでみた。

気を付けよう。本当に。

私も油性マジックで手のひらに書いとくよ。

「友達と比較。ダメ、ゼッタイ!」