ヒヤリハット牛乳 【モンペア通信】

photo credit: Capt' Gorgeous via photopin cc
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「娘ちゃんの給食の牛乳に異物が入っていました。」

学校から電話をもらった私は、

「えー?娘の歯に挟まってたものが落ちたんじゃないんですかー?」
と尋ねた。2年前のことだ。

まだ、娘は2年生だったから、口の中の物が入っだだけで騒いでるかも、と思ったのだ。

先生は「自分も確認したが1.5センチ角くらいの大きいプヨプヨした透明な塊で、
一つ目は娘ちゃんが口に入れて気付きテイッシュに取って捨て、二個目は自分に渡してくれた。
歯に挟まるようなものでも、給食のおかずの一部でもなさそうだ」という。

既に業者が来ていて、持ち帰り調査する旨伝えられた。
娘の担任は、若いが情熱ある信頼出来る先生だったから、先生にお任せします、とだけ言った。

調査終了

それからしばらくして、
また先生から電話があった。

「業者が調べたら何らかの植物片でした」とのことで、
「異物が混入しないようにラインを作っているので製造工程の混入ではないはず」
という回答とのこと。

毒性のあるもので無くて良かったけど、
何の植物かも不明、当日の献立との関連も不明、
製造工程をちゃんと作ってるから混入はあり得ない、で調査終了。

私は、えー?それで調査終了?納得いかないなぁと思ったけど、
先生も同じ思いだったようだった。

でも、異物を全部相手に渡してしまっているから、今更どうすることも出来ないな、と思った。
そして何より、大きな行事の前で
先生が連日遅くまで残って大変なのを知っていた。
当時は隣のクラスの担任が
心の病で休み、代理の先生が何人も入れ替わり立ち替わり。
先生が隣のクラスの面倒までみていて、ヘロヘロなのも知っていた。
職員室からの電話も夜8時過ぎだった。
声も疲れていた。

だから、言えなかった。
先生に、それ以上の負担を強いるのは、とても酷に感じた。
大変な時期に大騒ぎして迷惑をかけて、面倒臭い親だと思われたくない、モンペアと思われたくない、という気持ちもあったと思う。

先生には「業者の説明は、納得いかないけど仕方ないですもんね~」と伝えた。
先生は、ちょっとほっとしたように、ありがとうございます、と仰った。

ヒヤリ

友人に話したら、
「ヒヤリハット牛乳だね」と言われた。

ヒヤリハットとは重大な事故には至らなかった、至ってもおかしくない一歩手前の事象のこと。
重大な事故の陰には多くのヒヤリハットがあると言われている。

幸い、その後給食牛乳の大きな事故は聞かないけれど、静かにヒヤリハットが積み上がっていたらこわいなと思う。

今、巷で異物混入騒ぎが相次ぎ、
色々な意見が飛び交っているのをみて、
あの時、自分は本当はどうするべきだったのかな、
と考えている。

もう異物は二度とゴメンだけど、
もし今度出会ったら、半分は手元に残す努力をすると思う。