学校で子どもが暴力を受けたら親はどうすればよいのか。

近年、小学校での暴力件数は増加の一途を辿っている。(平成28年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(速報値)について

暴力を受けた子どもと、「どうしたらよいのか」わからず途方に暮れる親の数も増えているのだろう。

突然、被害者の親になって、呆然としていたかつての自分のように。

子どもが小学校で致死レベル(と医師が診断した)暴力を受けたが、学校内外の多くの支援者に恵まれたことにより、我が子は心身ともに後遺症もなく元気に過ごすことが出来ている。

それは、当時、周囲の協力といくつかの幸運が重なって、「親がやるべきこと」を偶然行うことができた結果だと感じている。それをシェアしたい。

子どもが学校で暴力を受けたら親がおこなうべきことは、次の3つである。

1 逃がす、逃げる。

2 怒りと悲しみをコントロールする仕組みをつくる。

3 記録する。

1 逃す、逃げる。

暴力を受けたら、まず暴力を受けた現場から子どもを逃がし、心身の安全を確保することが重要である。

暴力を受けても、「子どものけんか」「もう少し様子見を」と子どもを逃がさずに登校を続け、心身の傷を深くするケースや、取り返しのつかないことになったケースをいくつも見た。

とりあえず、暴力を受けたら、子どもを学校に登校させない、転校させる、クラスを変えることを検討し、即行動に移すべきである。

我が家の場合は、担任による隠蔽という不運も重なったため、クラスを変更した。直ぐにクラス変更したことは、ダメージを最小限に抑えるうえで本当に効果的であった。当時のクラスから同じ時期に3人が転校したが、皆転校先で元気に伸び伸びと過ごしている。大きな問題が起きた学校や学級の立て直しには時間がかかる。それを待つ間に、被害者の子どもの心身の傷が重症化することはよくあることである。とにかく逃がす、逃げるための方法を考え動く必要がある。

2 怒りと悲しみをコントロールする仕組みをつくる。

子どもの怒りや悲しみを親が受け止めることは最重要ミッションである。

同時に、親が自分自身の怒りや悲しみをコントロールする仕組みを作ることを早急におこなうべきである。

多くのいじめ被害者家族にお会いしてきたが、怒りや悲しみを家族の中だけで処理することは難しい。

親の怒りが、被害者である子どもや共に協力し合うべき家族を焼き尽くす現場を何度も見た。

カウンセラーや精神科医、友人、遠くに住む家族など相談相手を外部に求めることが必要である。

親の怒りや悲しみを家庭の中に充満させないことが、被害を受けた子どものダメージを最小限に抑える鍵である。

3 記録する

暴力を受けたら、怪我の状況を写真に撮る、時間や場所、状況を即記録する。また、医師の診断を早めに受け、診断書をきちんともらっておくことが大切である。

それ以外にも、暴力を受けた後の学校や相手とのやり取りを時間、場所、状況など詳細に記録しておくのが望ましい。

自分は、事件にあった時期にたまたまライフログを取る勉強をしていた。ログを取るアプリを使用していたため、学校とのやり取りなども簡単にスマホで記録を残すことが出来た。

自分たちの場合は、相手が最後まで否認したために「いじめ第三者調査委員会」に判断を委ねることになったが、記録が詳細で正確であったため、調査委員会の医師や弁護士に記録を元に正しい判断を行ってもらうことが出来た。警察の協力をスムーズに得られたのも正確な情報を時系列にまとめ早期に提出し、過去のデータベースとの照合が容易だったことも一因であった。

記録をすることのメリットは、事実を証明するためだけではない。

記録することで物事を客観的に見ることが出来、感情的にならずに済み、次の行動を冷静に判断出来た。

以上、簡単にまとめたが、暴力の被害者の親になった人に少しでも、役に立つことがあればと思う。

(なお、自分たちの事件から数年が経ち、子ども達は卒業したが、多くの人の尽力により現在の学校は平和で安全に運営されていることを申し添えておく。)