目標を達成する人参のぶら下げ方

目標に向かって走らなきゃいけない時

自分に与える人参も

子どもに与える人参も

「モノ」だけじゃなく

「モノ」のもたらす状況や気分を

セットにすることにしている。

幼稚園の年長だった私は

近所の3歳児りょう君のお世話が

大好きだった。

「みなちゃんの言うことなら

よく聞くから助かるわ~」

というりょう君ママの言葉に

気をよくして

すっかりお姉さん気取り。

ある日、

歯医者帰りのりょう君が

駄々をこねて

お母さんが困っていた。

私は

ここぞとばかり近付いて

「りょう君、うちに帰ろう、

帰ったら飴あげるよ」

と言った。

ぐずった時には、いつも

「飴作戦」がよく効いたのだ。

ところが

りょう君は

「嫌だいらないよ、飴なんか、

虫歯になるからいらないよーだ」

と言った。

りょう君を完璧にお世話出来る私、

という6歳児の誇りは

脆くも崩れ去った。

今も記憶に新しい、その時の衝撃。

歯医者で見たビデオが

虫歯の怖さを植え付ける

強烈なものだったらしい。

「モノ」じゃ人は動かない、

「モノ」じゃ人は動かなくなる、を

思い知った6歳の春。

あの時から

あんまり進歩してないけれど

そういう訳で

私の鼻面のとこに下がっている

人参は改良品種である。