子どもを待てない親が知っておくと楽になる、振り子は揺れるがいずれ止まる件。

「もっと早く知りたかった…」と涙を流すお母さんを何人も見た。

恩師の講演会でのこと。

演題は「昔ばなしが語る子どもの成長」。

学生時代から同じテーマの講演を何度も聞いている私は、ありがたみも感じずにいた。

毎回会場にいるお母さん、それも思春期の子を持つお母さんが泣いているので、
子どものいなかった私は
「思春期の親、ってか育児どんだけ辛いのかねぇ」と思ったものだった。

昔ばなしは、古来からの知恵が込められたものだが、子どもの成長についても多くの示唆に富んでいる。

講演の中で「シンデレラ」を例に話が進む。
「灰かぶり」として知る人もいるかもしれない、グリム童話だ。

継母に虐げられ、灰まみれのシンデレラ。
亡き母が出してくれたドレスで着飾り、舞踏会へ行く。
王子に見初められたのに逃げるように帰宅し、そのくせ、また舞踏会へと出かける。で、また逃げ帰る。

三回繰り返して、最後には王子と結婚するのだけど、だったら最初から逃げんと結婚しとけばよかろう〜という突っ込み入るとこ。

ゆれるよゆれる

シンデレラは、何故美しい姿になって舞踏会に行きながら、また灰の中のダーティーな姿に戻るのか?

その姿は、まさに思春期の子どもの成長を表しているのではないか、と恩師は語る。

自分本来の美しい姿になりたい、なって周囲に認められたい。
でも、ずっとそのまま美しい姿でいられず、またダーティーな姿に戻ってしまう。
しばらくすると再び美しい姿になり、舞踏会へ行き、認められると、また元の場所に戻ってしまう。

この揺り戻し、振り子のような心の動きが、子どもの成長の姿を表しているのではないか?と。

だから、その度に親は「せっかく良い子になったと思ったのに又裏切られた!」と怒り悲しむ必要はない。

子どもの成長の振り子が揺れているのだな、と思って待っていたらいい。

ずっと揺れ続ける振り子はないよ、いつか止まるから、と。

知ってるだけで

あくびしながら、講演を聞いていた愚かな私も今はわかる。

やっと良い子になって手許に来たと思えた我が子が、振り子のように揺れて
遠くの方へ行ってしまう残念な感覚や裏切られたように感じて湧き上がる怒りや痛みが。

でも、元来待てない人間な私が、
それでも少し待てるのは、
子どもの振り子は揺れるものだと知っているからだ。

「知ってるだけで、随分楽ですよね〜」
と今更、得意げに言う私に

二十数年、あくびも昼寝も叱らなかった恩師は

「そうだろ、知ってるだけで違ったろう」と仰るのであった。

釈迦の手のひらかっ!

にょいにょい!

らく〜ん

知ってるだけで、
知ってる人だけが、
ちょっと楽しているのは、
子育てに限らないけど。
やはり、何でも辛いよりは楽な方がいいよね。

…ということで
「もっと早く知りたかった」と後で泣かずにすむように、一読をおすすめする次第であります〜。

にょいにょい!