洗濯かあちゃん、選択をかんがえる

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photo credit: Lori Greig via photo pin cc

「どちらにしようかな、神様のいうとおり、あべべのべ…」
何かを選ぶとき、子ども達がよく使う遊び歌、
私も子どもの頃よく歌ったっけ…。
随分前から、友人知人の間で
コロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授の「選択の科学」がよく話題になっている。
書店にも平積みだから、ご存じの方も多いだろう。

「選択」をあらゆる角度から実験、検証して研究しているという。
しかし、
「人間万事塞翁が馬」を座右の銘のひとつとする自分は
過去の選択を研究するより、
過去の選択を正しいものとする為に今を生きるべしべし! と思って手に取ってこなかった。

(ペンギンフィギュア)
夏休みに子ども達を水族館に連れて行き、
帰りがけに、自分たちで選ばせてお土産を買った。
娘(4)は、エイや亀など7.8個のフィギュアが入ったセットを、
息子(6)は、水族館オリジナルのフィギュアが出てくるガチャガチャをして、ペンギンを1匹ゲットした。
両方とも、ほぼ同じ値段だった。
帰宅してから、
息子は、妹が箱からたくさんの魚や亀のフィギュアを出して並べだしたのがうらやましくなった。
風呂で髪を洗っている母のところに来て
「自分はペンギン一匹だけで、やだ。いっぱい入っている、あっちにすればよかった」
とぐずる。
ファミレスでも、ハンバーグか、うどんか、さんざん迷って注文して
ハンバーグ完食した後で「やっぱり、うどん頼めばよかった・・・」
とつぶやいて、
「さんざん食ってから、自分が選んだことを後悔すんなー!!!!」
と私に度々怒られている息子。

(何を選ぶのか)
風呂場の前で、ぐずぐず言うので、
「あなたは、水族館で見たものじゃなきゃヤダ、って言ってたよね?」
「うん…。」
「妹の買ったのは、水族館にいない魚も入ってるんだよ。」
「うん…。」
「あなたは、本物っぽいのがいい、って言ってたよね?」
「言った…。」
「あなたの買ったのは、海洋堂っていう、素晴らしいフィギュア作る会社の人たちが作ったのなんだよ。だから、おんなじ値段でも、あっちは沢山で、あなたのは一つなの。」
「ハッ…。」
「よく見てごらん、飾ってある見本見て、本物っぽいから、これにしたんだよね?」
「うん…。」
「お魚たくさんで、戦わせたり遊ばせたりしたいんだったら、妹のみたいに、上手に出来てないけどいっぱい入っているのを選べばよかったんだよ。水族館にいないお魚でもいいならね。」
「う・・・・。」
息子は、しばし無言で、手の中のペンギンをじっと見つめ、
「今日見たのと同じペンギンだから、良かった。
今日見たのと同じに、ちゃんと毛もくちばしもきれいに色がついているから、本物っぽい。
ぼくは、小さいワニのフィギュア持ってて、一緒に遊べるから、妹のみたいに沢山入ってなくてもいいや。」
と言うので、
「・・・ということは、今日は、あなた一番いいの選んだんじゃないの?」
と応えると、
「そうだ、ぼくは、ぼくに一番いいのを選んだなー」
と、嬉しそうに向こうの部屋に飛びはねていった。
その後も、
「本物にそっくりだ…いいの選んだなぁ」
とひとり、ペンギンと向かい合って
自分の選択の正しさを噛みしめていた。

(選択の理由)
今まで、
優柔不断で、後になってから、ぶつぶつ言う息子に
イラッとして
「あんた、自分で選んだんだから、後になってつべこべ言うんじゃぁないよ!!」
の一言で、片付けてたけど、
選択を振り返るって、大事だな。
いまさらながら…。
振り返ることで、選択したことを肯定できることもあるし、
選択に失敗したと思っても、次回の選択の基準をどこに置くか、チェック項目が出来ていくもんね。
息子も、「今度から、いっぱい欲しいか、そっくりなの欲しいか、考えて選ぼーっと」
と言っていた。
選択する、っていうことを考えさせるのも、教育なんですな。
そして、
過去の選択は、未来の選択の参考資料になるんだなー。
やはり、あの本読もうかなー。
と、髪のリンス流しながら思った。
…ってか、
息子、風呂のドア閉めろよ!湯気出るから!!